
しばらく世間話をして、和やかな時間が流れた。
未だに土方の洋装には馴れない。
その間にも、バラバラになった隊士達は自ら、ぞくぞくと集まってきた。
本当、久しぶりに洋服を見たな。今までが和服ばっかだったから…。
土方さんの髪の毛、短くなったなぁ…。【植髮前後大不同?】談植髮成功率與植髮心得 -
沖田さんが切ったらどうなるんだろ?
きっと素敵なんだろうな。
え?ていうか…誰かも髪の毛切ってなかった?
「……あぁ!!」
美海は大声を上げて、立ち上がった。
「な…なんだ?」
皆驚いている。
「そういえば!」
そこから美海は声を潜めた。
「実は、私達、お鈴さんのとこにいた時、藤堂さんに会ったんです」
「なんだって!?平助!?」
今度は近藤が飛び上がった。
「しーっ!」
「す…すまん…」
「総司。なんで言わなかった」
土方が沖田に睨みを効かせる。
「すっかり忘れてました。だって仕方ないじゃないですか!土方さんに会う大分前に会ったんですから!」
沖田は頬を膨らます。
藤堂は、近藤、土方によろしく伝えるようにと言ったのだが、それを今の今まですっかり忘れていた。
「で?なんて?」
「元気にしてましたよ。今は山のおばあさんにお世話になっているようですが、たまに江戸の街に降りてくるみたいです。
髪も切って、名前も変えてましたから、最初は分かんなかったんですけど」
美海はふと藤堂を思い出した。
そうだ。奇跡的にまた会えたのだ。
それを忘れていたなんて。
なんたる不覚。
「で、土方さんと近藤さんに謝りたいって」
「そんなこと…」
その場は静まり返った。
外の風が強くて、障子が揺れる音がやけに目立った。
「原田さんと永倉さんとも会いたいけど、自分は行けないって」
“ごめんね。美海。俺は…行けない”
美海はふと、あの時の藤堂を思い出した。
彼らには藤堂の思いが痛い程伝わってきた。
「でも」
「「俺は一緒にはいられない。
けどこれだけは覚えておいて。俺は誰がなんと言おうとずっと新撰組の味方だから」」
美海は沖田が同時に藤堂の言葉を言ったため、驚いて振り向いた。
「でしたよね?」
沖田はにっこりと笑っている。
美海も大きく頷き返した。
「そうか…。それが聞けただけで俺ぁ十分だ。平助が無事なだけで…良かった」
近藤はそういうとニカッと笑った。
思わず斉藤も微笑む。
「まぁ、あいつらならまたその内会えるさ。生きているんだ」
土方はそういうと市村が運ぶ前の茶を啜った。
「あ。一瞬誰かと思いました」
沖田がふと呟いた。
土方が青筋を浮かべる。
「まぁまぁ。歳。平助に免じてやれ」
再び和やかな雰囲気に場は包まれた。
あのまま平穏な毎日を過ごすことができたのなら、それがよかったのだが。
そうも言っていられる状況ではなくて日を増すごとに着々と流山への布陣の準備は進んでいった。
大半の隊士は既に荷物を持ち、流山へ送られている。
「近藤さーん!まだかぁ!」
「おーう!ちょっと待ってくれー!」
大将もそろそろ移動なようで、近藤は手荷物をまとめていた。
「いらない物は置いてけよー!」
「わかってる!」
近藤はそう答えると、がさがさと荷物を整理する。
無駄な物は持っていけないため、荷物は分別していらない物は処分するつもりだ。
意外に荷物はあったらしく、思い出の品がポロポロとでてきた。
懐かしい木刀や、鉢金や帷子。
中には筆や軍記物の本という日用品まで。
置いていく…かな…。
そんな中、忙しく動いていた近藤の手が止まった。
───あ。これは…。
思わず作業を止め、食い入るように見てしまった。
前に『皆』で撮ったホトガラ。
サンナン。山崎くん。
平助。左ノにしんぱっつぁん…。
皆いい顔をしている。
額は大概ボロボロだが、中は無事だ。
もう、すっかり人はいなくなってしまったけれど──。
近藤は自嘲染みた笑みを浮かべた。
近期熱門活動... |