
近藤が了承したのを確認すると土方は馬小屋へ走った。
「歳!」
「あ?」
「供はいらんのか!?」
「あぁ!!」
土方は再び走り出した。
またしても、近藤、土方がバラになってしまう戦いである。
今思えば、池田屋でもそうだったし、一緒になって戦うことは少なかったかもしれない。
「土方さん!」
聞き慣れた声に名前を呼ばれ、静かに振り向いた。
「なんだ?総司」
そこには寝巻き姿の沖田が立っていた。
「どこへ行くんです?」虛擬辦公室及註冊地址| 節省租金提升形象| easyCorp公司易
こんな時間にうろつける程、沖田は良くなった。
どうにもわからないのだが、もう治ったようにも見える。
「援兵を頼みに行く」
「こんな夜中に?」
「あぁ」
沖田の質問に土方は馬を準備しながら淡々と答えた。
「一人で?」
「あぁ」
「私がお供しましょうか?」
きっとこの人は近藤さん以外には言わなかったのだろう。
「いい。お前は明日久しぶりに出るんだ。美海をしっかり守れ」
沖田は目を見開いた。
まさか土方からそんな言葉が出るとは思わなかったのだ。
「わかりました。気をつけて」
沖田がそう言った頃には、土方は馬に跨がっていた。
「お前らもな」
そう言うと、土方はドカドカと暗闇の中を馬で駆けた。
久しぶりの戦線。
何故か胸騒ぎがする。
沖田もしばらく見送った後、部屋へ戻った。
次の日、朝一から近藤は庭を散歩した。
──焦りを見せてはならない。
俺は堂々として、歳の帰りを待つ。
それが今の俺に出来る最善の策。
「近藤さん、えらく落ち着いてますね」
美海が寝癖のついた頭を掻きながら、沖田に言った。
なんとなく近藤の意図が読めた沖田は、にっこりと笑った。
近藤はその後、隊士を呼ぶと、上手いとは言えない自筆で書いた紙を渡した。
昨日の夜中から、朝までひたすら書いた書き付けだ。
それにはこう書かれていたらしい。
徳川家御為に尽力致し候輩は、御挽回の後、恩賞可致者也
大久保大和昌宜
絶対に挽回する。
これで終わらせたりなんかしない。
歳がいる。
この書には、そんな近藤の思いも込められていたのかもしれない。
もちろん、恩賞は本当に貰えるとは思っていなかったが、自分達が甲州を絶対に押さえてやる。
そう思って書いた。
その書き付けを持って隊士は回った。
甲州は気性が荒い。
なんとなく多摩と似た雰囲気がある。
絶対に集まる。
その近藤の思惑どおり、日が落ちるまでに沢山の血気者が集まった。
彼らの中の一番眼光が鋭い者を組頭に、関所を作ってもらうことにした。
そこで出来る限り防衛し、土方と援軍が到着すると甲府城へ乗り込むつもりだ。
即席にしては立派な関所ができた頃。
もう防衛は完璧だ。
だが、あちらも中々。
近藤の動きをいち早く察知した板垣は、直ぐに関所に刺客を向かわせた。
ただ、それが何千人もいるやら、援軍が何万人も来るやら、気が遠くなるような数字ばかりが耳に入っていたため、土佐にも緊張が走っていた。
もちろんそんなの全て近藤の吹いた大洞だ。
実際は100人にも満たない。
「おい。これはなんの真似だ?」
「さぁ?なんの真似だろうな」
関所の前では、こちらで募兵した組頭と板垣の刺客が睨み合っている。
赤……土佐か。
ほとんど何も聞かされていなかったが、それだけはわかった。
因みに黒が薩摩で白が長州。
気味のわりぃ奴らだ。
「どけ。その奥に用がある」
近期熱門活動... |