「ぅわぁ!」
スタッ
沖田は空中で体制を立て直し、綺麗に着地した。
「山崎さん!」
「総司!?上にいたのか。俺はてっきりまだ襖んとこにいると思ってたぜ」
沖田は上を睨んでいる。
「はい。美海ちゃんも」
ドン
「へ?ぅわぁぁぁあ!」
「おっと!」
ドサッ
上を睨んでいた沖田が美海を受け止めた。
その後に山崎も下りてくる。
「美海に山崎くんまで!?」
「で。土方さん何ですか?」
沖田はそう聞きながら美海を地面に降ろす。
「あぁ。伊東…先生のことなんだが」
「やっぱり」
「どう思う?」
「どうって?」
美海が口を挟む。
こいつは……。なぁんもわかってないな。
土方と沖田と山崎は目を合わす。
「「くさいですねぇ」」
沖田と山崎がハモった。「やっぱりそう思うか?」
美海は無視されたため口を尖らせ黙っている。
「俺が見てる限りではなんですが冷笑していたように思えます」
「俺もだ。でもこれだけじゃあ近藤さんには言えねぇなぁ。あの人は人が良いから」
うんうん。と美海以外が頷く。
「とりあえず心配だから山崎くん。一週間見張りをしておいてくれないか」
「わかりました」
山崎はそう言うと姿を消し、屋根裏に戻った。
「なんなんですかぁ?」
「おまえ(美海さん)は気にしなくていい(ですよ)」
またしても沖田と土方が同じことを言った。
「ただ……」
「ただ?」
「伊東にはあまり近づくな。なんだか胸騒ぎがする」
土方さんも…?
「わ…わかりました」
美海は顔を強ばらせた。
「絶対だ。必要最低限は関わるな。美海は先に戻ってくれ」
土方は念を押すと、美海を部屋から出した。
「総司」
美海が出たのを確認すると土方が口を開いた。
「なんですか?」
「とりあえず美海の近辺に注意してくれ。美海が女だとバレると厄介だ」
「はい」
沖田は真剣な顔になった。
コソッ
「美海を守れれば好感度上がるぞ」
土方は意地悪な笑みで沖田を見ている。
ボッ
「わわわわわかってますよ!」
沖田は真っ赤になると怪しい動きで部屋を出た。
「ははは!おもしれぇ」
沖田が部屋をでると土方は1人で笑った。「みっなみ~!俺と新八と山南さんで島原行くけど行くかー?」
美海が部屋に戻ろうとすると原田に会った。
「原田さん~!……あれ?藤堂さんは?」
「あぁ。平助は今日は伊東先生といるんだとよ~」
原田は少し拗ねたような顔をする。
「へー…。そうですねぇ。行こうかな!」
久しぶりに明里さんに会いたいし!
「おぅ!準備しとけよ~10分後門の前集合な~」
「はーい!」
美海は原田に手を振るとその場を離れた。
ガラッ
「沖田さん」
部屋に帰ると沖田が団子を食べていた。
「なんれふは―?」
なんですか?かな?
「今から島原に行ってきます」
沖田はチラリと外を見る。
もう日は落ちかけていて薄暗い。
「だめれふ」
団子を加えたまま手でバツを作っている。
夜に出歩いては駄目と言われたため一応沖田には報告している。
「大丈夫ですよ。原田さんと永倉さんと山南さんで行きますから!」
沖田は無言になって考え込む。
「?」
「私も行きます」
「お!美海!遅かったな…って総司!?どうしたんだ?」
はははと美海は苦笑いだ。
「いつもは行かない総司が…?」
原田と永倉は目を合わせる。
「「ついに春到来!?」」
二人はニヤニヤしだす。
「違いますよ」
美海さんが島原で何をしてるのか見たいだけですし。
まさかのああいう趣味だったら困るからな…。
男が女を好きになるのは問題ないのだが、美海の場合男の姿をした女のため難しい。
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