
こんな時にまで他の男を思わないでくれないか?余裕は一瞬で崩れ去った。
「そうだね。じゃあその熱吸い出してあげるね。」
顎に手を添えられた時点で三津はハッとして桂の口を両手で塞ぎにかかった。
「小五郎さんに伝染れば藩のみなさんに迷惑がかかるのでっ!」 【植髮前後大不同?】談植髮成功率與植髮心得 -
職務が出来なくなるでしょうと全力で拒否するが,
「いい反応だね。さてはもう元気なのかな?
それにその危機察知能力は私以外の男に発揮してくれない?」
両手はすぐに布団に押さえつけられ,力では敵わないだろうと意地悪い笑みに見下される。
「私の体力奪って悪化させる気でしょうか?」
「逆だよ。元気にしてあげるんだよ。」
「元気になるのは小五郎さんですよね!?ちょっと聞いてます!?」
聞き分けのない大人は質が悪い。これは長い攻防戦になりそうだ。
桂の笑みに内側から満たされた。掴まれた右手には桂の感触と体温。ふっと肩の力が抜ける。安心したら眠気が襲ってきた。
まだ話したい。目を見ていたい。そう思うけど三津の意識はどんどん薄れていった。
家の前で腕組みをしながら厳しい顔で一点を見つめていると,
「晋作?何してんの?三津は?」
顔を上げると吉田と入江に邪魔だと言わんばかりの目で見られていた。
「おぉ稔麿,九一。今桂さんが戻っちょるけぇ席外した。お前らも邪魔すんなや。」
「は?邪魔する以外の選択肢がないんだけど。」
吉田は遠慮なしに戸に手を掛けた。次の日も吉田や久坂達が代わる代わるやって来て献身的に看病にあたった。
そのお陰か,これ以上迷惑をかけられないと言う三津の気合いの表れか,熱も下がりすっかり良くなった。
「元気になってくれて良かったよ。」
「小五郎さんもお忙しいのに寝る間を惜しんで看病してくれはって……。ありがとうございました。
お陰でお見送りにも来れました。」
高杉の出立に間に合った。今まさに帰ろうとするところを門の前でお見送り。
「何だか晋作を見送りたい晋作への愛の力で治ったような感じが癪だね。口付けていい?」
「唐突にも程がありますね。みなさん居る前では発言も慎んでもらえます?」
顔を真っ赤にしながらも冷静を装い桂の腕をバシッと叩いた。
入江と久坂はにやにやが止まらず,吉田は軽い舌打ちをして桂を睨む。
「じゃあ世話になったな。三津さんまた会おう。」
「はい!お元気でっ!……って伊藤さんは何故そちら側に?」
またなーと手を振る高杉の横に,私も今から旅に出ますといった出で立ちの伊藤が居る。
「伊藤君も一緒に帰るんだよ。晋作がちゃんと帰るようにと,不必要に厳しい処分が下らないよう口添えしてもらう為に。」
「何から何まですまんの。でもまぁすぐ出られると思うぞ。なんせ戦に出る人足りんから何かあればまた都合よく頼ってくるわ。」
「長州には晋作が必要なんだよ。伊藤君頼むよ。」
伊藤は名残惜しそうに三津に向かって頭を深々と下げた。
「道中気をつけて下さいね。……どうやって帰るか知りませんが。」
三津はとにかく気を付けてと連呼した。
「大阪まで出て船に乗ります。本当に三津さん来なくていいんですか?
でも一応白石さんにも話し通していつでも来られるようにしときますね。」
『私は伊藤君からの信用をだいぶ失ったようだな。』
心配でならないと三津から離れようとしない伊藤に桂の顔は引き攣った。
「じゃあ行くわ。あ,そうや三津さん。」
高杉はさっと右手を三津の前に差し出した。別れの握手かと思った三津は両手でその手を握ろうとした。
「餞別に。」
高杉の手は三津に差し出され手を避けて左胸を鷲掴みにした。
「なんや見た目よりあるやないか。もっと胸張らんから小さく見えるんや。じゃあな!」
ありがとう!と爽やかに笑って高杉は走って逃げた。
近期熱門活動... |