高杉は俺に分かるように説明しろと三津に詰め寄った。
「えっと話せば長くなるんですが……。」
「あ?長くなるなら面倒くせぇ。とりあえず一緒に呑もう。な?」
高杉は手酌で酒を注いだお猪口を三津に突き付けた。【生髮】激光生髮儀如何使用?真的有效嗎? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
「今日はお酌係……。」
「俺の酒が呑めんそ?」
別に睨まれている訳じゃないが切れ長の目にまっすぐ見られて断れない空気が押し寄せる。
「ちょっとだけ……。」
いつものようにちびちびと口に運んでいると,
「まどろっこしい呑み方やのぉ。」
高杉は左手で三津の後頭部を掴み上を向かせ,右手でお猪口を取り上げて一気に口の中に流し込んだ。
「んー!何するんですか!酔ってまうっ……!」
「酒は酔う為のもんじゃ呑め呑め!酔え!」
豪快に笑うと突き返されたお猪口に更に注いでまた三津に突き返す。
三津は要らないと首をぶんぶん横に振ったが,
「口移しするぞ。」
「……いただきます。」
恐る恐る口を付けたら,まどろっこしい!とまた流し込まれた。
「晋作!無理に呑ますな。」
久坂の助けに三津は咄嗟にその背後に回って隠れた。
「三津こっちへおいで。」
見兼ねた桂が声をかけると三津は急いで乃美の横に逃げた。
「あ!ずりぃ!クソ親父の横に!」
「誰がクソ親父だ!クソ餓鬼がぁ!
全く!高杉を三津さんの近くに置いとくのは悪影響でしかない。」
三津は不機嫌になってしまった乃美をまぁまぁと宥めながら酒を勧めた。
折角和やかにと設けたのにこれでは意味がない。
その和やかをぶち壊す元凶が徳利片手にしつこく三津に近付いて来る。
「桂さんこの女子には聞きたい事が多過ぎるっちゃ。
桂さんの女やのに幕府側の女中?間者か?」
桂に聞きたいと言いながらも体は三津の方を向いている。目にもしっかりその姿を捉えている。
「桂の癖に忍ぶ恋などしよるから三津さんが危険な目に遭うんじゃろが。」
乃美の言葉に益々訳が分からんぞと高杉は首をひねる。
「危険な目に遭わせたくなかったから黙ってたんですよ。それに存在を知られたくなかったんでね。
案の定余計な詮索をして惑わされた奴が居るじゃないですか。」
まっすぐ前を見据えれば不敵な笑みで酒を煽りまっすぐ見返してくる吉田がいる。「で?実際手ぇ出したのいつなんです?」
「みんなの前でそんな野暮な事聞くもんじゃないよ稔麿。
それに何度聞かれたって答えないね。私と三津だけが知りうればいい事だ。」
大人げなく勝ち誇った顔をした。三津は恥ずかしさから現実逃避。耳を塞いでみんなに背を向けて話が変わるのを待った。
「あの日でしょ?膝擦りむいたって私の所に塗り薬取りに来た日でしょ?」
「止めろ玄瑞。それは言うな。」
「でもその間三津さん一筋で他の女にも目もくれず,半年以上も我慢してたなんて涙ぐましいですよ。」
ここぞとばかりに入江も冷やかしにかかった。
『こいつら余計な事を……。』
こうなれば何を言っても揚げ足を取られる。桂はだんまりを決め込んでひたすら酒を煽った。
「も……もう私らの事はいいんで皆さん呑んで下さい……。」
これ以上突っ込まれては心臓が破裂して死んてしまうと三津は乃美の後ろに隠れた。
「呑んだら恥ずかしさもどうでも良くなるから呑み呑み。」
高杉は懲りずにここぞとばかりに三津に詰め寄る。
「呑んで忘れたらいいけぇ。」
乃美の後ろから三津を引きずり出して呑んだら楽になるぞと唆す。
呑んで楽になるなら呑んでやる。
差し出されたお猪口のお酒を一気に飲み干した。
「うぅ……無理ぃ……。」
お酒の美味しさなんて分からないんだ。呑むんじゃなかったと乃美の腕に縋りついてめそめそ泣き出した。
「晋作無理に呑ますなって。」
久坂の呆れた声にへへっと笑ってすまんすまんと三津の頭を撫でた。
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