をみはった、ような気がする。
掌にとり、シンクの蛍光灯にかざす。
「机の上に?以前、あつかった事件関係者の子どもたちだ」
「ふーん。病気なん?病院みたいや」
親父は、つかったコップを洗うと拭き、肺癌病徵 食器棚に戻し、紙パックのミルクを冷蔵庫にしまう。
「生まれつき悪いらしく、ずっと病院にいる・・・。さぁ、もう寝なさい。明日は、早朝稽古があるんだろう?」
「そや。ほんま、いやんなる」
これも嘘である。
朝、起きるのが辛いときがある。が、基本的には、いつの稽古だって嫌いじゃない。
なにより、親父が覚えていることがうれしい。
「この写真、処分しておこう。この子たちも、おまえとおなじように成長する。いつか、病院からでるだろう」
一瞬ではあるが、親父のいい方と、そこにこめられた悲しげな響きが気になった。
「つぎの試合、約束はできないが、休みはとっている。さえ入らなければ、応援にいくよ」
「ええっ!マジで?」
期待は薄い。9割の確率で、や問題ごとが生じるから。
だが、その気持ちがうれしい。
それでその写真のことは、すっかり消え去った。
や問題ごとが生じるから。
だが、その気持ちがうれしい。
それでその写真のことは、すっかり消え去った。
をあわせようとしない。
「その話は、考えさせてくれ。とりあえず、斎藤は抜けることはない。こいつは、近藤さんや土方さん、それと会津侯以外に従う気はないからな」 これまでの話の内容は、あらかた想像がつく。
話はちがうが、いまの永倉の言葉にあった斎藤の従う人物の対象・・・。会津侯が入っていたことに、驚きを禁じ得ない。
斎藤が、会津藩の間者であること・・・。副長だけではなく、永倉も気がついているわけだ。
「しんぱっつあん。おまえたちは、京でやりすぎた。敵は、新撰組を許しやしない。このままじゃぁ、おまえたち、とんでもない死に方をするぞ。それに、護るべきものもなかろう。いったい、なんのために戦う?」
じゃぁあんたは、いったいなんのために戦う?って喉元まででかかってしまう。
永倉を靖兵隊に誘っているはず。隊を結成し、いったいなにをしようというのか?護るべきものがないことをしっていながら、なにゆえ隊を結成する?
心のなかで問う。
の原田。まったく関心のないのを装っている斎藤。
「いまだって、逃げかえってきたのであろう?新撰組は、しょせん人斬り集団。軍ではない。一人二人斬るってのが、せいぜいといったところだろう?落ちたもんだよな」
「宇八郎、きさまっ!」
「おい、新八・・・」
原田がとめようとし、その動きがとまる。
「新撰組は、ただの人斬り集団にあらず。軍としても、敵にけっしてひけをとらぬだけの力がございます」
「・・・」
ざまあみろ。
とつじょあらわれた双子にはさまれ、市川はフリーズしている。
双子は、白衣のようなものを着ている。治療を手伝っていたにちがいない。
「市川宇八郎殿、ですな?永倉先生の古くからの知己ということはさしひいても、いろいろと噂はききおよんでおります」
俊冬が、市川の右耳にささやく。俊春は無言のままであるが、その男前の
苦りきったの原田。まったく関心のないのを装っている斎藤。
「いまだって、逃げかえってきたのであろう?新撰組は、しょせん人斬り集団。軍ではない。一人二人斬るってのが、せいぜいといったところだろう?落ちたもんだよな」
「宇八郎、きさまっ!」
「おい、新八・・・」
原田がとめようとし、その動きがとまる。
「新撰組は、ただの人斬り集団にあらず。軍としても、敵にけっしてひけをとらぬだけの力がございます」
「・・・」
ざまあみろ。
とつじょあらわれた双子にはさまれ、市川はフリーズしている。
双子は、白衣のようなものを着ている。治療を手伝っていたにちがいない。
「市川宇八郎殿、ですな?永倉先生の古くからの知己ということはさしひいても、いろいろと噂はききおよんでおります」
俊冬が、市川の右耳にささやく。俊春は無言のままであるが、その男前のじゃないんだろうよ」
「よーっく、わかってらっしゃるではないですか、市川殿。どれをとっても、そこにいる子どもたちにきかせたくないものばかりですな」
俊冬は、ソッコー辛辣に返す。
「ははは・・・。で、そういうおまえらは、だれだ?」
年少でも、初対面の相手をおまえ呼ばわりする市川。
「これは申しおくれました。われらは、新撰組に拾われ、つかっていただいています小者兼調理人でございます。名は、ございません。ぽちとたま、とでもお呼びください」
子どもらが盛大にふきだした。いや、かれらだけではない。おれも含めた大人もふいた。永倉ですら、「ぶふっ」とふいた。相棒も、左脚もとで「ケンOン笑い」をしている。
昔、放映されていたアニメ「うちOタマ知りませんか」を思いだしてしまった。けっこう、かわいかったな、なんて。
一瞬だけ訪れた笑いのムードのなか、
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